190427 チャールズ・エリス / 『敗者のゲーム』 読書グラフィ 今日読んだ本

読書グラフィ 今日読んだ本

★チャールズ・エリス (著)、鹿毛雄二 (訳) / 『敗者のゲーム』


●優れた投資家が守ってきた投資についての基本原則

(1)投資の最大の課題は、株式・債券・不動産などへの

 長期的な資産配分の決定である。


(2)長期的な資産配分の決定に際して考慮すべき点は、

 成長性・安全性・毎年の収入などだが、最も大事なのは、

 いつ資金が必要になるか、という点である。


(3)資産ごとにも、資産の種類ごとにも幅広く分散すること。

 暴落は突然起きる。


(4)決めたことを一貫して忍耐強く実行する。

 上昇相場は最も悲観的な時に起こる。一喜一憂した時の損失は大きい。

「方針をきちんと立て、方針どおりに行動すること」。

 だからこそ、(1)の資産配分方針が重要である。



●歴史的に見れば、びっくりするような相場などめったにない。

時おり「異常事態」は起こるが、統計的にはそれも想定の範囲内だ。

経験者から見れば、まったく驚くにはあたらない。

そんなものに驚いて振り回させられてはならない。


●投資で成功するうえでの最大の課題は、頭を使うことではなく、

 感情をコントロールすることである。


 ティーンエイジャーの子供を育てる時のように、

 常に最大の目的を忘れず、落ち着いて、

 忍耐強く首尾一貫して行動することが必要だ。


行動経済学者が示す、人間が常に合理的に行動するわけではない事例


・「平均への回帰」という社会科学の原則を忘れがちだ。


・統計的な確率を無視してします。

(たとえば、確率的にはギャンブルで勝てるわけがないのに、

 カジノにのめり込んでしまう)


・勝ちが続くと、それがずっと続くと思い込む。

 手持ち投資信託が値上がりしていくと、どんどん強気になる。


・現実を冷静に見つめるのではなく、自分の当初の判断にこだわり、

 それを正当化する材料ばかり探す。


・半ば思いつきで選んだデータを、

 将来的な判断のためのベンチマークとして使ってしまう。


・自分の判断力を過信する。

(面白いことに、人間は自分の能力を過小評価することはあまりない)


・「よく知っている」ことと、「よく理解している」こととは違うが、

 これらはしばしば混同される。


・新しい情報に過剰反応する。


・自分は他の投資家よりも多くを知っているという錯覚に陥る。

(約8割の人は自分のことを平均以上と思っている。

 ほとんどのドライバーは、自分が周りの人より運転がうまいと思っている。

 親は皆、自分の子供が他の子供より出来がよいと思っている。)



●1年で10%上がる投資の1か月ごとの平均上昇率は1%にも満たない。

 1日単位の上昇率はほとんどゼロに近い。

 したがって、毎日の株価の動きを気にしても意味がない。


 株価などは、四半期に一度見れば十分だ。


●投資の成功はつまるところ、投資家の知的能力と情緒面の能力に依存する。


 知的能力とは、企業の財務諸表の分析能力、情報収集と活用、

 個別情報を判断資料に統合する能力である。


 情緒的能力とは、市場の暴騰・暴落といった極端な場面で、

 冷静さを保ち合理的な判断をなしうる自己抑制能力である。



 どの投資家にも得意分野と「冷静を保てる領域」が存在する。

「己を知る」ということは自分の強みと弱みを知ることであり、

 この2つの範囲の内側にとどまることを意味する。


 二つの領域の重なる部分がスイート・スポットであり、

 投資家はここに集中すべきだ。


 夜眠れないほどのポジションを取るべきでもないし、

 確信の持てない分野に出るべきでもない。


 
 防御は最大の攻撃である。


 投資においては高いリターンを求めることより、

 リスクを、夜よく眠れる水準にとどめることのほうが大事なのだ。


 最も得意な分野で、かつ冷静な判断を下せる範囲内に

 常に投資を限定すべきなのだ。自分のお金なのだから。



●投資において、「競争上の優位」を確立し、「市場に勝つ」ための三つの方法


(1)「体力」を駆使する方法。

人よりも早く出社し、夜遅くまで働き、土日にも出勤する。

体力でマーケットに勝とうとするやり方である。


(2)「知力」で勝とうとする方法。

人よりもじっくりと考え、

人よりも長期のスパンでものごとをとらえることによって、

よりよい投資機会を見つけ出そうとする。


(3)「感情力」で勝つ方法。

マーケットがどれだけ上がっても下がっても、常に冷静さを保とうとする。

実は最も簡単な方法だが、ある意味では非常に難しい。

この方法で成功するのは謙虚な人である。



●トッププロの投資判断を一つにまとめてしまうには、インデックスを使えばよい。


※仮にトッププロの知識を集めて投資をすれば、集めれば集めるほど、

 結果は平均に向かうといった感じの例えが、とてもわかりやすかった。



モーニングスターによれば、

 過去の成績は将来の参考にならず、手数料の低い投信の成績が良い。



●5段階の運用のプロセス 

(1)自分自身の長期運用目的の確認と、

 その達成のために望ましい資産配分比率の策定・・・

 株式・債券などへの配分。


(2)株式ポートフォリオの構成の決定・・・

 成長株 対 割安株、大型株 対 小型株、国内株 対 海外株など。

 大型基金の場合、債券などについても同様な検討が必要。


(3)アクティブ 対 パッシブ比率の決定・・・

 多くの投資家にとっては、長期的にはパッシブがお勧め。


(4)個別ファンドの選択・・・

 残念なことに、ほとんどの投資家はこの点にほとんどの時間を費やす。


(5)アクティブな運用・・・

 個別銘柄の選択・売買実行。


 最小コストで最大効果を生み出すのは、(1)である。

 (4)、(5)の個別ファンドや個別銘柄選択は、

 最もコストがかかる割に効果はほとんどない。


 ここに、「敗者のゲーム」の究極の意味での皮肉な結果がある。


 私たちはえてして(5)の個別銘柄選択で勝とうと夢中になる。

 にもかかわらず、このゲームのコストは最大となり、

 得られるものはほとんどないという事実である。


 それどころか、市場に勝とうと夢中になるあまり、

 低コストで高いリターンも見込める(1)の重要なゲームを忘れてしまう。




※実践は自己責任で。

#読書 #財テク