190518 田中ウルヴェ京 / 『成功の種を蒔く』 読書グラフィ 今日読んだ本

読書グラフィ 今日読んだ本

★田中ウルヴェ京 / 『成功の種を蒔く──わが子の本気を引き出すコーピングスキル50』


●親がまずすべきことは「情報収集」です。

(子どもに話を聞き、その内容を繰り返すことによって)

子ども本人になったつもりになって、

お母さんが子どもの独り言を言ってあげるのです。


それはお母さんにとって「情報収集」になると同時に、

子どもに対しては、ゴチャゴチャになっている気持ちを整理するための

「情報提供」になります。


気持ちが整理されていくと、心理状態に対する「気づき」が起き、

そこから前に進めます。



●(親が一方的に受験校を決めて)受験をしたりすると、

合格でも不合格でも、子どもへの影響はマイナスなことばかりです。


ひとつめのマイナス点は、結果的に不合格だった場合、

「失敗を人のせいにする子」になってしまうことです。


二つめは、人に言われてそのとおりやって失敗すると、

その痛みがまったく学びにならず、不快な気分になってしまうことです。


三つめは、親に言われて受験した学校に合格したとしても、

人の言葉に従って得た成功にすぎないので、

たいした達成感にならないことです。


受験にかぎらず、子どもが人生の課題に立ち向かうときには、

ぜひ親の「色眼鏡」ではなく、

その子自身が感じたこと、その子自身が決めたことで

進むべき道を選ぶ支援をしてください。


結果が失敗だったとしても、子ども自身が決めたことならば、

確実に子どものためになります。

自分で決めたことなのですから、親が心配するほど、

子どもにとってマイナスをもたらす悪影響にはなりません。


むしろ、そのプロセスにおいて、

「自分なりに工夫して考えてやってきた経験」が

たくさん蓄積されているはずです。


そこにいっぱい、

「これからの人生を生きていくうえで大切なスキル」が

育成されているのです。


たとえ自分の選択の結果、穴に落ちることがあっても、

そこから這い上がること自体が「学び」になるのです。

それ自体が宝です。


それに、もしそれで合格したら、

本当の意味での達成感を持つことができるので、

万々歳ではありませんか。



●「あなたは絶対になにがあっても大丈夫!

ちゃんと自分の人生を歩んでいける」と

大きな信頼感を持っていることを、子どもに伝えていきましょう。


私の場合、よく使っている言葉は、

「もう少し自分で考えてみたら?」

「ママの人生じゃないから。最後に決めるのはあなただからね。

 でも、なにかママができることあったら聞いてね」

というようなもの。


人生は自分で決めるものなのだ、という自己コントロール感とともに、

子どもに、「親は、自分の決断を信頼してくれている」

という自信を持たせていく。


大切なのは、子どもに「正解」を教えることではなく、

「いずれこの子は、自分一人の力で生きていく」という前提のもとに、

「子ども自身が、自分の正解を導き出すために」

親としてなにができるかを考え、後方支援をすることです。


私は10年以上、さまざまな企業の新入社員研修を行っていますが、

ここ数年、とくに強く感じるのが、

最初から「正解」を求める若者が増えているということ。


さいころから、彼らの親が「正解」の道ばかり用意してきたのかもしれない。

彼らに「行動で失敗して、そのことで経験を得る」という機会を

つくってあげなかったのかもしれない。

目の前の若者の姿は、「その結果」でしかないかもしれません。




「練習ばかりの毎日、自分の人生は報われるでしょうか?」


「あなたの気持ちはよくわかります。(中略)

 でも、はっきり言います。

『この努力は報われるんだろうか?』と思っても、よいことはありません。

『もし、報われなかったらどうしよう』という意識に支配されているかぎり、

 びびって、本番で普段の力が出せなくなってしまうだけです。


 じゃあどうしたらいいのか?答えは簡単です。

『努力は報われるとはかぎらない』という事実を認め、

『報われるために自分にできることはなにか』に集中するだけです。


 ですから、質問の答えは、はい、安心してください。


 あなたがスポーツのために犠牲にしている

 さまざまなことが報われるかどうかは、だれもわかりません。


 これが答えです。」


 厳しいように聞こえるかもしれませんが、

 この事実をがっつりと理解しているかどうかで、

 私たちの本番でのパフォーマンス状態は激変するのです。


●勉強や仕事でも、「近道」や「正解」を求めると、

 本質を理解していくために必要なプロセスを怠ってしまいます。


 これは、若者だけのせいではない。


 その周囲にいた大人が、どういう指示命令を

 お節介に出していたかによることが大きいと思います。
 

●本当の子育てとは、上から引っ張ることではなく、

 子どもを受け入れて下から押すことです。


「情報の収集と提供」

「親の考えを押しつけず、子どもに決定権を与えること」

「子どもの思考のくせを受け入れたうえで、

 ほかの考え方もあると伝えること」


 これらはすべて、「下から押す子育て」です。


●親が、仕事であれ趣味であれ、なにかに熱中していて、

 その楽しさを夢中で語っていれば、

 子どもは将来に向けて夢や希望を持つことができ、

 基本的な「生きるエネルギー」が自然と出てきます。


●本来、やる気とは自発的なものです。

 だれかに言われて出てくるものでも、

 親が上から引っ張りだせるものでもありません。


 私たち親にできることは、

「やる気を出すとこんなに楽しいよ!」と、みずからの行動で示すことだけ。

 でも、それで十分です。


アメリカのスポーツ心理学者 ジム・テイラー博士

「ポジティブ・プッシング」 八カ条


①I am loved.
「私は愛されている」自己親愛感

②I am capable.
「私はできる」 自己肯定感

③It's important to try.
「大事なのは挑戦すること」 チャレンジ精神

④I am responsible for my day.
「自分の行いに責任をもつ」 自己責任感

⑤It's OK to make mistakes.
「失敗しても大丈夫」 失敗受容感

⑥I can handle things when they go wrong.
「間違っても修正できる」 逆境対処能力

⑦I enjoy what I do.
「自分のやっていることが楽しい」 自己幸福感

⑧I can change.
「私は変わることができる」 自己受容感


●子育てというと、

「親が子どもをどう導くか、子どもの問題をどう解決するか」

 だと思われがちです。

 そのため、親が子どもの足りない部分を見つけて、

「勉強しなさい、お手伝いをしなさい、礼儀正しくしなさい」と、

 一方向の働きかけしかしていない親御さんが多いのですが、

 じつは、親自身も問われ続けているのです。


 その意味で、子育ては親と子の「双方向の働きかけ」です。

 子育ての過程で親の意識が変わり、

 そこから子どもに対する働きかけも変わっていくのは、

 ごく自然なこと。

 そうやって親も子も、ともに成長していくのです。

 それが「人間を育てる」ということです。


●著者の母

「あたなをテニスや水泳の練習に送ったら、

 迎えに行くまでの時間があるでしょ?

 家でじっとしているのももったいないから、

 いっしょにやろうかなって思ったのよ」


●将棋 羽生善治(はぶ よしはる)

「リスクをとらないことが、リスクだ」


●コーピングは、

「アドバーシティ・コーピング・スキル

(adversity coping skill、逆境対処スキル)」


 1960年代に始まった認知行動療法によるうつ治療の手法を、

 80年代になって宇宙飛行士やスポーツ選手を対象として

 取り入れたのが、「アドバーシティ・コーピング」です。


 もともとコーピングとは、

 逆境に置かれることが多い人たちに対する心の自己調整術です。


 単なるミスではなく、”wrong”(悪いこと)が起きてしまったときには、

 自分の行動を悔いたり運命を呪ったりするのではなく、

「自分自身で処理する(handle)」ポジティブな姿勢が重要なのです。


●自分で自分を好きにならないで、

 ほかのだれが好きになってくれるというのでしょう?


「私は私でしかない。こうして生を受けたのだから、

 自分の心と身体ができることで精いっぱい楽しくつき合っていこう。

 それ以外、なにを求めるというのだ?」と思える人は

「自分で自分を能動的に幸せにできる人」です。


●日本人は変化を嫌う傾向があるので、

「自分はこのままでいい、変わりたくない」とか、

「変われるはずがない」と思うことも多いようです。


 会社でも、組織のしくみが大きく変わった途端に、

 必ず「昔はよかった」と言い出す人がいます。


 建設的な意見を持っているわけではなく、

 変化そのものを怖がっていることが往々にしてあるものです。


 変化を怖がらず、自分をよりよい方向へ変えていくこと。

 常に日々、マイナーチェンジをし続けること。


 この小さい変化のきっかけは、

 まさに考え方を少し変えるだけというところからです。


●子どものためにポジティブな成功の種を蒔くには、

 親であるあなたが、自分自身と真摯に向き合うことが重要です。


「子どものためになにとなにができるか」を数える前に、

「自分の人生のためになにをすればいいか」を考え、

 能動的に生きてみようと決めることです。


 その中でこどもに手渡していけるものは、結局、

「芯」「真」「信」の三つに尽きる、と私は思っています。


「芯」・・・

あなたがどう生きていきたいかの軸であり、自分自身で決められるものです。

そこには当然、あなたの価値観が反映されます。


子どもが「芯」をつくり始めたときに、しっかりと向き合って、

どんな人生を歩んでいきたいのか聞いてあげれば、

たとえどんな仕事につこうとも、

その子は「自分の人生の軸は自分で決められる」

という感覚を持てるようになります。


この感覚は、これからの多様な価値観の時代には

とくに大事になってくることでしょう。



「真」・・・

「芯」を知るために、日々、真実の自分でいること。

自分に対しても、できれば他人に対しても、

いつも本音を言えるようなオープン・マインドが「真」です。


人の心にはいろいろな側面があるので、

いやな部分はだれにでもたくさんあります。

それを短所だと思わず、

自分のいやな部分を知ろうとすることが大事です。


そうすれば、「自分のいやな部分から目をそむけず、

知ろうとするところは長所だ」と気づくでしょう。


このように、自分に対してオープン・マインドになることは、

自己肯定感につながっていくのです。



「信」とは、自分を信じること。

せめて自分だけは、自分を信じてあげることです。

「自分は自分でしかない。自分でいいのだ」

という肯定的な信じ方をすることです。


また、さらに「自分を信じる」うえで大切なのは、

他人を、世の中を信じることです。

他人を信じるとは、「あるがままの他人」を受け入れるということ。

そして、目の前の社会に対しても、「あるがままの事実」を認め、

自分というちっぽけな個体にできることを考える、ということです。


相手の思考力を信じ、自分の言動に軸がある自信があれば、

変な気遣いや、「こんなこと言って自分のことを誤解されたらどうしよう」

「こんなこと言ったら悪いかな?」といった迷いがありません。


そもそも悪いわけがないのです。


結婚していようがしていまいが、子どもがいようがいまいが、

どちらの人生にも優劣がありません。

どちらも幸せだし、どちらも不幸せである可能性があるのです。


「この世の中はもう終わりだ」と社会を信じられなかったり、

「いまの社会は使えない人ばかり」と他人を信じられなかったりすることは、

結果的に、自分自身を不幸せにするだけです。





ニューヨーク市立大学 リハビリテーションルーム

患者さんが刻んでいったといわれる詩


「苦難にある者たちの告白」


大事をなそうとして 力を与えてほしいと神に求めたのに

慎み深く従順であるようにと 弱さを授かった


より偉大なことができるように 健康を求めたのに

よりよきことができるようにと 病弱を与えられた


幸せになろうとして 富を求めたのに

賢明であるようにと 貧困を授かった


世の人々の賞賛を得ようとして 権力を求めたのに

神の前にひざまずくようにと 弱さを授かった


人生を享楽しようと あらゆるものを求めたのに

あらゆることを喜べるようにと 生命を授かった


求めたものは一つとして与えられなかったが

願いはすべて聞き届けられた

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず

心のなかの言い表せない祈りはすべてかなえられた


私はあらゆる人のなかでもっとも豊かに祝福されたのだ





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