190519 開一夫 / 『日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ』 読書グラフィ 今日読んだ本

読書グラフィ 今日読んだ本

★開(ひらき)一夫 / 『日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ』



●赤ちゃん研究者 メルゾフ、ムーア

「新生児模倣(neonatal imitation)の実験」


生後2~3時間の新生児であっても、各動作をまねする(模倣する)。


・対象の赤ちゃん

生後すぐから21日までの新生児(1カ月ぐらいまでが適切)


・手順

赤ちゃんが目を開け、泣かないで起きているとき(覚醒状態)に、

舌出し、口開け、口出し(唇を突き出す)をそれぞれおこなう。



●トロニック 「スティル・フェイス(still face)」

3カ月児ぐらいの赤ちゃんで実験をおこなうと、

「静止画」の場面で、顔をそむけたり、

むずがったりすることが報告されています。


・対象の赤ちゃん

生後2カ月から8カ月ぐらい。


・手順

赤ちゃんを座らせ、目線の高さが合うようにする。

(1)普段どおりに赤ちゃんの顔を見ながら笑顔で話しかける。

(2)「静止顔(普通の顔)」で、声は出さずにジッと赤ちゃんの顔を見続ける。

   赤ちゃんの表情、視線がどのように変化するかを見る。

(3)普段どおりに赤ちゃんの顔を見ながら笑顔で話しかける。



●乳幼児期の記憶能力に関しては、興味深いことが知られています。

 私たち大人は、3歳までの出来事をなかなか思い出すことができません。

 これは、「乳児期健忘(infantile amnesia)」とか

「乳幼児期健忘(childhood amnesia)」と呼ばれており、

 さまざまな仮説があります。代表的な仮説は、

 脳における記憶を司る部位が未成熟であることを主張しています。


 健忘は、見聞きしたことを頭の中に記銘できず、

 すぐに忘れてしまう「前進性健忘」と、

 あるときからさかのぼって過去の記憶を想起できない

逆行性健忘」に分けられます。


 ほとんどすべての大人は、3歳よりも前にさかのぼって

 過去の記憶を想起できないので、逆行性健忘症であるといえます。



●「延滞模倣(deferred imitation)」


・目的

赤ちゃんが道具の使い方を

「他者から」獲得するメカニズムについて調べる。


・対象の赤ちゃん

生後13カ月~24カ月


・手順

1日目

(1)タッチライトを赤ちゃんが見やすい位置に置く。

(2)「これ、タッチライトっていうんだよ」と話しかけ、

   手ではなく、頭でライトを点けて見せる。

(3)ライトが点く。「あ、ちゃんと点いたね」と話しかける。

   ライトを箱にしまう。


2日目

   前日、箱にしまったタッチライトを取り出し、

  「はい、どうぞ」といって、赤ちゃんの近くにタッチライトを置く。

   どのように扱うかを観察する。


・この実験では、最初にタッチライトを見せるときに、

「頭を使う」という普通ならやらない、変わったやり方で

 ライトを点けて見せます。

 そうすれば、赤ちゃんが同じように頭を使ったかどうかで、

 ライトの点け方を自分で見つけたのか、

 それともお父さん/お母さんが見せたやり方を学習・記憶したのか、

 区別することができます。


●初期状態+アクション → 目標状態

「対象(道具など)の初期状態が与えられ、

 何らかのアクション(操作)をおこなった結果として、

 目標状態に変化する」


●ギャラップ 「マークテスト、ダイ(dye)テスト」

 鏡に映った自己像が

 自分自身のものと認知しているかどうかをテストしました。
 

 具体的には、(気付かれないように)顔に印を付け、

 その後、しばらくしてから鏡を見せ、印に気づいて、

 それにさわるかどうかをテストしたのです。



●現在の赤ちゃん研究で用いられているテスト方法は、

「直接的指標」を用いるものと、

「間接的指標」を用いるものとに分類することができます。


 直接的指標というのは、調べたい事柄に直接関係した指標のことです。

「まねしたかしないか」「玩具を正しい場所から探したかどうか」など、

 赤ちゃんの行動が直接調べたい事柄と関連しています。


 これに対して、間接的指標にもとづく実験方法は、

 つぎに示す赤ちゃんの一般的性質を利用しています。


(1)目新しい刺激に対して注意を向ける。


「新奇刺激に対する定位反応の増加」といいます。

 定位反応とは、ある刺激に対する視線や姿勢の方向づけ、

 あるいは刺激呈示に呼応した心拍など、生理的指標の変化のことです。


(2)くり返し刺激には飽きが生じる。


「学習過程にともなう定位反応の減衰」といいます。

 特定の刺激がくり返し提示されることによって、

 その刺激に「飽き」が生じて定位反応が減衰することをさします。

 この「飽き」のことを専門用語では、

「馴化(じゅんか)(habituation)」と呼びます。

 私たち大人も、同じ味の物ばかり食べていると飽きてしまって

 食べたくなくなります。これは、一種の馴化反応といってよいでしょう。



#読書 #子育て