200715 河野英太郎、田中ウルヴェ京 /『99%の人がしていないたった1%のメンタルのコツ』

読書グラフィ 今日読んだ本

★河野英太郎、田中ウルヴェ京 / 『99%の人がしていないたった1%のメンタルのコツ』



●人が怒っていても、自分のせいではないと考える。


 心理学には受動態はありません。

 つまり、怒っているあなたは、

 単にあなた自身が怒りの状態になっているのであり、

 周りの誰かのせいで「怒らされている」わけではないのです。


 あなたに向かって怒りをぶちまける相手は、

 その人が自分の心を勝手に怒らせているだけなのです。


 怒るか怒らないかは、その人が選択した結果ですから、

 あなたはまったく罪の意識を持つ必要はありません。


 そう思うことで、少なくともあなたが心をいためることはなくなります。

 そのメンタルの状態で「怒り続けている」相手を見ていると、

 スーッと落ちついていく自分に気がつくでしょう。


 結果的に対処方法が見えてくるようになるのです。



●必ず、意図的に副交感神経をはたらかせて

 リラックスした時間をとるように心がけてください。


 ちなみに、スマホを見て過ごすことは

 リラックスにはなりにくいといわれています。


 リオオリンピックでは、

 寝る直前にスマホをいじってブルーライトを浴びていた選手の戦績が

 そうでない選手と比較してふるわなかったというデータがあるそうです。



●イライラしているときや焦っているときは、

 溜め込みすぎずに外に出しましょう。

言語化」というかたちで、早めに外に出すことです。


 たとえば、

「私は今いらついています。具体的に言うと、○○について・・・」

「僕はじつに焦っています。理由は、・・・」


 ここでのポイントは2つあります。


(1)言語化すること

「あーっ」とか「クソー!」と言うだけではなく、

 具体的に言葉に表してみることで、何が問題なのかを認識できます。

 また、具体的に述べることで、

「意外に大したことじゃないな」と思える瞬間も訪れます。


 感情を言語化するメリットとして、心理学の研究では、

「感情を客観的に見つめて、整理する力が養われる。

 その結果、感情を制御する力がつく」ということがわかっているそうです。


 また脳の研究でも、

「こういう感情を抱いている自分」と言語化することが、

 建設的な思考を助長し、原因が特定されて、

 対応策についても具体的に語れるようになるともいわれています。


 イライラや焦りの原因は「なんとなくの不安」であることが多く、

 その「なんとなく」を放っておくと、

 さらなるイライラの原因をつくったりします。


 小さいイライラのうちから、具体化したり詳細に分解したりしてみると、

 単に大げさにとらえすぎていたり、

 着実にやれば必ず解決できることだったりするものです。



(2)この言語化は、できるだけ一人になったところでやってみるということ。


※この本では「おなら」に例えられている。



●アスリートの実力発揮に向けた流れ(ピラミッド状)


心理(Mental)



戦術(Tactical)



技術(Technical)



身体(Physical)



哲学(Philosophical)ベース



●ピラミッドの頂点には「心理(Mental)」があります。

身体を司るのも、技術や戦術を司るのも、すべては人間の脳です。


身体を鍛えているときに脳で「何を感じ、何を考えているか」によって、

鍛えた結果は異なります。


「脳の使い方」=「思考と感情の使い方」を知ることは

「心理(Mental)」の基本です。

そして、この脳の処理能力を高めることが「心理(Mental)」の領域です。


メンタルマネジメントの中でも、この領域は、淡々とコツコツと

「メンタルスキル」の反復練習によって鍛えていく場所です。


ピラミッドの根底にあるのが、上の4要素を「行う理由」である

「哲学(Philosophy)」です。

ここもメンタルマネジメントの領域です。


「哲学(Philosophy)」とは、

自分ならではのキャリアの理由や意味づけの領域です。


「自分はなぜ能力発揮をするのか」「なぜこの仕事をしているのか」といった、

ありとあらゆる側面からの自問自答によって

「能動的に悶々とすること」から得られる「自己認識」です。


ここには、「やる気(モチベーション)」や「自信」というものも含まれます。


そもそもやる気や自信は他人から与えてもらえるものでもなければ、

「こうやったらやる気が出る」「こんなふうに考えたら自信が湧く」

といったマニュアルがあるわけでもありません。


自分という人間は、自分の考え方や感じ方で成り立っている。



●人によって、やる気の種類も、勝利の意味も、

成功や幸福という言葉の持つ意味も異なります。


そうしたことを自分自身に問いかけながら、

「私は何をどう感じ、どう考え、

 だからどう行動し、どう生きたい人間なのか」

を探求することこそが、

試合の本番での実力発揮に(究極的にいえば)必要なのではないか。



●「哲学(Philosophy)」の部分こそが、トップアスリートや

ビジネスパーソンのメンタルには重要であるということです。


この部分は、人によって「気づく」内容も違うし、だからこそ、

その人ならではの「働く理由」や、人生観にまで広がっていきます。


「気づき」や「人生観」なんて聞くと、

前向きでカッコイイことを言わないといけないとお思いかもしれませんが、

決してそうではありません。


自己認識を持つ(セルフアウェアネス)ということは、

「やる気のでない自分」「人に嫉妬する自分」といった、

誰にも見せたくないけど、じつは自分ではずっとわかっていた、

「気づきたくなかった自分」に気づくことでもあります。


そして、そうした自分を認めたうえで、それを温かく受け入れること。


「でも、本当は頑張りたい自分」

「本当はうらやましい、自分もああなりたいと思う自分」などなど、


ポジティブもネガティブも表裏一体であり、

そして自分の弱点こそが長所や個性になり得るということの発見が、

じつは本当のやる気や自信の基礎となる-


そのことを、私たちは

メンタルマネジメントによって気づいていくことができます。


こうした気づきは、私たちが社会人として生きる根底となっていきます。


メンタルマネジメントは、

「自己の潜在能力を最高度に発揮するための自己管理」と書きました。


その究極の目的は、

「あなたという人間の未開拓な部分を発見すること」でもあります。


自己管理の目的は、完璧な人間になることではありません。


「あなたという人間に、あなた自身が好奇心を持つ」こと、

そしてそれが「感情の質感」として感じられるようになれれば、

みなさんのキャリアにおける成功も失敗もすべて、

「この事実は、どう捉えればいいのだろう」

という視点で受け止めることができるようになるのだと思います。



#読書 #人生訓