200210 齋藤孝 / 『世界の見方が変わる50の概念』 読書グラフィ 今日読んだ本
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★齋藤孝 / 『世界の見方が変わる50の概念』
●すぐれた概念は、先人の知恵と思考の結晶です。
世界の見方を変え、思考を豊かにしてくれます。
不安定になりがちな心をしっかりさせてくれるものでもあります。
●パニプティコン・・・
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もともとは、イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムが考案した刑務所の
建築構想を指す言葉で、<一望監視方式>などと訳されています。
監視塔を真ん中に建てて、そのまわりを取り囲むように囚人房を配置するというもの。
この様式だと死角がないので、監視塔から囚人全員を監視できます。
さらに、監視塔の中を暗くし、囚人房を明るくすると、監視塔の内部は見えません。
すると、囚人はいつも見られていると思うようになって、
監視していなくても、つねに監視されているという意識が植えつけられていきます。
つねに見られていると思うようになることで、
一方向的視線が内面化していきます。
そうなると、「見られているかもしれない。変なことはできないぞ」と、
誰に強制されるでもなく自分から規律に服従するようになってしまいます。
フランスの哲学者ミシェル・フーコーは、
この従属を<自発的に服従する主体>と呼んでいます。
また、<人の「主体性」の脆弱さ>について言及しています。
●人は自発的に服従していく存在だということに気づいておくことが大事です。
必要以上に臆病になっていないか、相互に監視し合って自由を失っていないか、
と自問し、<勇気チェック>をしてみよう。
●<野生の思考>
<文明の思考>の対義語。
フランスの社会人類学者・民俗学者 レヴィ・ストロース著『野生の思考』。
文字のない未開の社会で暮らしている先住民族などの人たちは、
あらかじめきちんと設計するのではなく、
必要に応じてその場にあるものを組み合わせてまかなうということをしています。
レヴィ・ストロースはこれを<ブリコラージュ(Bricolage)>と呼びました。
<器用仕事>と訳されます。「寄せ集めて自分で作る」「ものを自分で修繕する」
「工夫する」を意味するフランス語です。
<文明の思考>には、物を”念のために”たくさん作っておこうということが
考え方の基本にありますから、
どうしても作りすぎて、必要以上に物があふれてしまいます。
服が必要だから織るのではなく、織物を大量生産できる機械ができたので、
大量消費させる仕組みをつくろうという矛盾した現象が起きています。
●オリエンタリズム(Orientalism)
何でもひとくくりにする思考に陥っていないか。
パレスチナ系アメリカ人の文学研究者・文芸批評家 エドワード・サイード
<西洋人が勝手につくりあげた東洋(オリエント)のイメージ>を
<オリエンタリズム>と名づけて批判。
●トゥリー(Tree)/リゾーム(Rhizome)
・トゥリー(樹木)は西欧社会を支配してきた思考法です。
基本原則を立てて、
それを基準として生物の系統樹のように幹から枝が別れて展開していくというものです。
・リゾーム
トゥリーに対抗する思考法として提唱されたネットワーク型の思考法。
<リゾーム>は「地下茎」「根茎」を意味する言葉です。
異なったものを体系化・秩序化するのではなく、
全体を構成するそれぞれの部分を自由に横断的に接続していくネットワーク型の思考法。
●網の目のなかで接続したり切断したりするたびに、
新しい価値や性質が生まれ、多様性が生まれる。
そのような自在なネットワークでつねに変化していきたいものです。
#読書 #人生訓